“赤”のアーチャー

“赤”側のサーヴァントの一人。美しい翠緑の色をした服を着た狩人。獣耳っぽい何かと尻尾っぽい何かがチャームポイント。
真名はアタランテ。ギリシャ神話において駿足で名を知られた女狩人である。本編でも語られた通り、王の娘として生まれながら、父によって山に捨てられたという悲運の過去を持つ。雌熊によって育てられ、山に踏み入った狩人に引き取られた彼女は生まれ持った才能か、メキメキと腕を上げていく。
彼女を有名にしたエピソードは三つ。一つ目がイアソン率いるアルゴナイタイの乗組員の一人として選ばれたこと。
二つ目がカリュドンの魔猪退治。三つ目が婚姻騒動。いずれもあまり気持ちの良い終わり方にはならず、特に三つ目によって男性不信も極まっている。
何しろ当時のギリシャ戦士といえば、戦闘は即ち神への供物であり蹂躏である。獣を狩るときも必要以上に乱暴に振る舞う彼らは、いずれもアタランテの好むものではなかった。唯一、控えめな態度でこちらに接してくれたペレウスという男が気になってはいたのだが。
彼女が子供に拘るのは、自らの出自故である。それほどまでに、赤子のときに抱いた絶望感が強烈だったのだろう。全ての子供が救われる世界が実現するならば、自身の命も喜んで捨て石にするだろう。
シロウに協力したのも、彼の願いが自分の願いに通じるものだと縋ったから。自分の願いが聖杯に叶えられるかどうか不明な以上、明瞭に救済を告げた彼の言葉は福音に等しいものだったかもしれない。
宝具は二つあるが、一つは通常の聖杯戦争で使用することはまず有り得ないので実質的には対軍宝具『訴状の矢文』が彼女の宝具であるともいえる。
獣耳と尻尾は伝説にある呪いの象徴、後遺症のようなもの……のはずだが、本人は割と気に入っているらしい。

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