外見、四十代半ばの男性。魔術師。
苦悩が刻まれた貌と、魔術師にあるまじき強靭[きょうじん]な体が、対峙[たいじ]した者に嘔吐[おうと]感に似た重圧を与える。
魔術師としては平凡だが、『結界』作りに関しては屈指[くっし]の冴えを見せる。
結界とは内と外を分けるもの。それ自体で完結した世界を作り上げる為には、まず自身を完成させなくてはならない。
特殊な才能を持たない荒耶は、歳月と信念を積み重ねる事で自己を完成させ、一流の結界師となった。
外と内とを隔[へだ]てるもの。『空の境界』は彼の物語でもある。
物語中最大の事件・矛盾螺旋[むじゅんらせん]を象徴する人物。
何があり得ないかと言うと、彼は学んでいた学問の名前も知らずに、その教えを極めていたようなものなのである。
間違いを知らないままでいられる偶然、当然の事実を他人から教えられなかった偶然。故に、その矛盾は、最後まで抱えるべき必然。
人名