“赤”側のマスターの一人。だが、シロウ・コトミネ側にはつかずサーヴァントと共に独自の行動を取った。サーヴァントは“赤”のセイバー、モードレッド。凶悪な風体は、いかにもアメリカンのアウトロー然としている。魔術師ではなく、魔術使い。知識という点では魔術師たちに敵わないものの、戦闘経験という点では百年ほどを生きたダーニックに比肩する。
普段は戦場を渡り歩いて魔術師の死体を回収したり、魔術刻印を奪い合ったりする。意図的に死者を増やすようなことは基本的にしない。というのも、そんなことしなくとも毎日毎秒、世界のどこかで必ず死者が出るからだ。
魔術礼装としてソードオフ(銃身を短く切り詰めたもの)のショットガンを愛用しているが、これはあくまでガンドの応用魔術の媒体として使用しているものであり、本来の用途で銃を使ったことはない。他、心臓を加工した手榴弾や動物の眼球や猿の手など基本的に扱っているのが死霊魔術のため、礼装のほとんどが悪趣味極まりない。
魔術協会から依頼を受けて、聖杯大戦に参戦。本来は“赤”のサーヴァントたちと手を組んで戦う予定だったのだが、シロウ・コトミネとそのサーヴァントであるセミラミスを信用できないと独自行動を取ることに。“黒”側のサーヴァントと小競り合い、“黒”のバーサーカー相手には勝利したが、そこで“赤”のマスター、シロウの企みに気付いて戦争を棚上げした。
とはいえ、それでも最後まで聖杯を目指して戦ったのだがモードレッドがセミラミスと相討ちになったところで聖杯大戦からは脱落。獅子劫もまた、モードレッドを救うための行動が仇となって死亡した。
プロット段階から「今作のボニー&クライド」として「好き勝手に暴れ回る、後悔はしない、戦って戦って笑いながら死ぬ」ことだけは決めていたコンビ。いやまあ、ボニーもクライドも笑いながら死んでないのだけど。
魔術師としての力量は昔一流、今は二流。魔術使いとしてなら一流。マスターとしては、まあ、この微妙に扱いにくいモーさんと一度たりとも対立することなく乗りこなした時点で合格点を頂けるのではないでしょうか。
名前も出なかった養女に対しては相当な愛情を注いでいたようで、ジャケットの裏ポケットを探ると古びた写真とかが出てくる。ただ、戦場に出るようになってから風貌が凶悪になったので、二人の写真の顔はいかにも真面目そうな学者風。
モードレッドがその写真を見た場合、ひとしきり笑った後で嫌なことを理解して無言を貫くだろう。要するにその写真の男が目の前の風体になるまで、傷だらけの人生を選んだというどうにもならない絶望を分かってしまうからだ。
獅子劫界離が聖杯に託した願望は、本当に本気で痛切なものだった。心のどこかで、自分が公言している望みは真実ではなく、本当の望みはただ彼女の死を覆すことなのだと考えていたのだろう。
それに気付いたとき、それを受け入れたとき、獅子劫界離の魔術師としての生は全て終わりを告げるのだ。
なお、当初のプロットではダーニックが追い落とした一族の末裔が獅子劫界離だった。ただ、時系列的に矛盾が発生するのと、そもそもユグドミレニアとあんまり絡まないのであっさりと没設定に。
人名