一言で言ってしまうと、冬木式聖杯戦争がねじ曲がった例外戦争である。七騎のサーヴァントによる戦いが長期間に渡って開始されない場合、聖杯は新たな七騎を召喚する準備を整える。ただし、それは六十年掛けて霊脈から少しずつ溜めた魔力を再度吸い上げる行為であり、下手をすると霊脈は永遠に枯れ果ててしまう。
ヴラド三世の手からただ一人逃れた魔術師の手によって大聖杯は聖杯大戦システムを起動、本来なら聖杯戦争の待機期間であるが、いち早く大戦用の七騎召喚が承認された。
とは言えダーニックにとっては聖杯大戦は予想内の出来事だった。と言うのも、大聖杯を象徴として掲げて新規組織を起ち上げたとしても、魔術協会は必ず妨害活動を行う。それならば、自身の最大戦力―――即ち、サーヴァントたちで一度魔術協会と対決しておくのが良いと判断していた。ここで協会を徹底的に叩くことで反動勢力を活発化させ、自陣営に組み込むこともダーニックは視野に入れていた。
彼の試みが全て上手くいった場合、魔術協会の勢力は減退し、日本における戦国乱世もかくやという時代が幕を開けていただろう。
……まあ、どれもこれもシロウさんと“黒”のライダーのお陰で台無しになった訳ですが。
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