ジナコ・カリギリ

CCCで登場するマスター。
サーヴァントはランチャーことカルナ。
西欧圏のゲームチャンプで、プレイヤースキルよりはプレイ時間、やりこみ度で名を馳せる廃人。ハンドルネームは「じな子」。
日系ドイツ人で、母が日本人、父がドイツ人。
そこそこ厳格な家で、そこそこ大事に育てられた一人娘。中学の時に事故で両親を亡くし、そこそこの生活で一生食っていける程度の遺産を手に入れた。
高校に進学せず、
(意思があって進学しなかったわけではない、ただ、誰も行けといってくれなかったからズルズルと)
根っからオタク気質のあった彼女は、世界中のオタクアイテムをぼちぼち買いあつめ、そこそこオタク優雅なひきこもり生活を送り始める。
Piece Journal(略称PJ)という欧州の巨大掲示板によく出没し、そこが彼女のオタコミニュケーションの場。要するにネット廃人。
PJでは『遺産で引きこもり=勝ち組』などチヤホヤされてまんざらでもない生活……だと思っていた。
しかし、周囲の(中学生の同級生)とか、ネット上のオタク友達が就職や結婚といった話題を出し始めるにつけ、なにか不安になっている。

「いやいや、ニートは真の勝ち組っすから」

……でも、何か、大事なものを置いてきてしまったような。
ネット上ではたとえ強がりでも作ったキャラであっても、一時的に不安は忘れられる。
しかしネットから離れ、ふと自分の部屋に振り返ると透明な不安に覆われる。
死ぬまで生活費に困らないジナコには、金銭面での不安はない。けれどこの先、一生『この生活』を送っていくのか、と考えると頭にもやがかかって、シーツをかぶって眠りに逃げてしまう。
ジナコを包む不安は自分の人生への『諦め』と、やはり自分の人生への『反省』である。

ネット中毒者だったジナコは軽い気持ちで聖杯戦争に参加した。
聖杯戦争に参加した理由は「人生のやり直し」。できればパパとママが死ななかった未来で、普通のオタク高校生として学校に通っている自分になりたい。
普通の友達と、普通の彼氏(…ができるのであれば)と、普通の女の子の人生をやりなおしたい。
それが彼女の本当の願いだった。
しかし聖杯戦争に参加してみればまわりは天才だらけ、ゲームは本気でシビアで逃げ場なし。
チキンなジナコは戦う前からボイコットし、偶然見つけた校舎の隙間(倉庫)に引きこもってしまう。
「ここで優勝者が出るまで隠れていれば問題ないッスね~。ジナ子さん、マジ天才」
と自分に対して強がるも、聖杯戦争が進むにつれ、七回戦が終われば自分も消される事に気づいてしまう。
校舎の隙間にある用務員室で、彼女は校舎から鳴り響く校内放送に耳を傾ける。
聖杯戦争が五回戦あたりになると『七回戦が終わったら校舎ごと消える』という現実を直視できず、精神を病み、自閉症そのものとなる。差し迫った死の恐怖に自家中毒を起こし、発狂寸前、あるいは発狂していた時、月の裏側に落ちて記憶を失った。
CCCでは死の運命から逃れられるかも、と少しだけ希望を見いだすも、性格は変わらず、主人公たちには非協力的。助かりたいと思うも、自分の心を見られたくない、というスタンスでのらりくらりと状況に流されていく。
主人公に対してのみガードが甘いのは、主人公がジナコと同じ“凡人”だから。
とことん自分本位で、敗戦思考で、ぐうたらな〇十代のダメ人間。
が、カルナの言う通り、カタツムリにもカタツムリなりの衿持はある。最終局面において、ジナコはギリギリになりながらも、最低限の『自分の責任』を果たそうと踏みとどまるのであった。

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