ゴーレム

アヴィケブロンが生産する土塊、または石や樹木で構成された人造の兵士たち。ゴーレムの概念は古代イスラエルまで遡り、製法の基礎的な部分は大体二世紀から九世紀時点で成立していたとされる。だが、更に言うのであればゴーレムは創世記の「主は土くれで人間を形作り、鼻から命を吹き込んだ」というくだりに由来する。
つまり、ゴーレムとはそもそもが「人間」を作ろうとする試みなのである。従って、ゴーレムは人間に近ければ近いほどに高品質と言える。もっとも、それはあくまでカバリストの考える理想的なゴーレムであって、魔術師ならば「如何に強力なゴーレムを造るか」に腐心するべきなのかもしれない。
アヴィケブロンの魔術は基本的にゴーレムを造ることのみに特化しており、彼の技術は既に現代の魔術師が追いつけない領域に到達している、ゴーレムを売り捌くだけで一生遊んで暮らせるレベル。ロシェが傾倒してしまうのも無理はない。
人間に近いものを、というのがアヴィケブロンのゴーレムのコンセプトであるが、それはそれとして手慰みに全く異なるコンセプトのゴーレムを造るのも吝かではない。ヴラド三世の乗馬用に作成した銅鉄馬は地味な白信作で、瞳につける宝石だけでも億単位だったとか。
大戦後、実は一部のゴーレムたちも細々と生き残っており、ほとんどは売却されたもののわずかなゴーレムはホムンクルスと共に新天地へと向かったとか。

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