“黒”側のサーヴァント、陣営のトップを張る男。真名をヴラド三世、ルーマニアの守護者であるが、ルーマニアを除く世界的には『ドラキュラ』という名乗りの方が圧倒的に有名だろう。
ブラム・ストーカー原作の『ドラキュラ』により、ルーマニアの一英雄だった彼は吸血鬼の代名詞として一躍名を馳せた。
……元々、ドラキュラとは「竜の息子」の意味合いであり、吸血鬼からは縁遠い存在だ。では、どうしてそれが吸血鬼の代名詞になったのかというと、ヴラド三世の所業が、あまりに血塗られていたからに他ならない。
二万人のトルコ兵を串刺しにし、「どんな人間も私は恐れまい。だが、悪魔だけは別だ」と東ローマ帝国を滅ぼしたメフメト二世ほどの男に言わしめた圧倒的な残忍さ。後世、エピソードの幾つかは罪を着せるための捏造だという指摘がなされたが、それでもなおその残虐性は後世に刻まれるほどであった。
そしてその一方で、ルーマニアをメフメト二世の手から守った「キリスト教の盾」としての英雄ぶりも再評価されている。
本作以外に「Fate/EXTRA」にも登場。姿や武器、言動などは本作と異なりどちらかというと狂信的な騎士、妻を愛する男としての側面が強調されている。
本作においては、君主としての側面が強調された形で召喚されている。これは、故国ルーマニアで召喚されたという事実が大きいだろう。知名度ボーナスのため、他国で召喚された場合のパラメータよりランクが向上している。合わせてスキル『護国の鬼将』により、破格の力を持つサーヴァントとして顕現した。
しかし、それでも,“赤”側の総攻撃により徐々に追い詰められていき、強奪された大聖杯を奪い返すため、知名度の恩恵を受けられない場所に踏み入ってしまう。
弱体化し、死を覚悟した彼の下へ現れたのはマスターであるダーニック。彼は平然と、ヴラドにとってもっとも忌避、嫌悪すべき選択肢を選ばせるのであった。
激昂すると誰より恐ろしいものの、基本的には国を愛する清廉な武人。吸血鬼に関する話題だけがNGであるものの、それを除けば極めて共闘しやすいサーヴァントと言えるだろう。
彼にとって不幸だったのは要であった“黒”のセイバーが戦う前に消失したことと、何よりマスターが魔術師らしい魔術師だったことだ。
……それでも。部下を率いて国を、聖杯を守ろうとしたその姿はやはり高潔だった。
なお、召喚可能な他のクラスだとバーサーカーが適合する。この場合、狂化の影響か吸血鬼であることをあっさりと肯定し、王ではなく鬼として戦うことになる。武器は体内から射出する杭。
サーヴァント