“黒”側のサーヴァントの一人。真名はフランケンシュタイン。出典は言わずとしれたメアリー・シェリーの小説『Frankenstein: or The Modern Prometheus(フランケンシュタイン、または現代のプロメテウス)』である。
ウェディングドレス風の衣装に身を包んだ少女。小説だと男だったじゃん!という至極もっともなご指摘があるかと思いますが、彼女は本来アダム……男の人造人間を産む役割を持っていたのだ。
天才的な科学者であり錬金術師でもあったヴィクター・フランケンシュタインが雷の力を利用して作った人造人間———ホムンクルス。
“黒”側で力量の劣るカウレスが召喚したせいもあってか、サーヴァントとしてはバーサーカーとして狂化した状態でもさして秀でたところがある訳ではない。
唯一、スキル『ガルバニズム』のせいで異常なまでに効率良い魔力供給が行えるのは大きなメリットだが、今回のホムンクルスたちによる魔力供給によってそのメリットも押し潰されている。宝具も自爆することでやっとBランク、しなければC〜Dランクの破壊力が精々という有様。恐らく、聖杯戦争においても聖杯大戦においても勝ち抜くには相当の幸運、マスターの判断力がなければ不可能だろう。
ジークフリートを除けば、真っ先に退場したサーヴァント。彼女が最後の力を振り絞って放った宝具すら、無意味なものとなったはずだったが———。
それ以降の彼女に関しては、最終巻を読んだ人間ならばご存じだろう。彼女の使った宝具が、巡り巡って世界を救い、カウレスたちに勝利をもたらしたのだ。
尻尾を決して振らず、いつもつまらなそうな顔をしてる癖に、やけに人に接近してくる大型犬のイメージ。カウレスの後ろを歩くときは、いつも距離が近いとか。
感情がないことを咎められたせいか、人の感情に敏感であろうとする。最後の令呪を使うカウレスが嫌になるほど冷徹な声を無理矢理出していることに気付いたとき、フランケンシュタインは「自分の死を誰かが惜しむ」という奇跡のよぅな出来事に気付いたのだ。それは間違いなく、生まれて初めての貴重で素敵な経験だった。
宝具『磔刑の雷樹』によって第二のフランケンシュタインが生まれる確率は極めて低い。
その確率を、彼女は強い意志で引き当てた。
余談だが「カプセルさーばんと」のフランちゃんは倒されると首がぼろんと転がって超可愛いと思うのだけど、どうか。
サーヴァント