キングプロテア

実現しなかったサクラファイブの一人。
渇愛のアルターエゴ。
サクラファイブの中でも最下層の位置づけでありながら、SE.RA.PH最強の存在でもある。
イデススキル『ヒュージスケール』を持つでか桜。
長時間迷宮にいると現れるお邪魔キャラで、通路を壊しながら進む永久パターン防止キャラ。転んでダンジョン破壊とかバカ可愛い。
アリーナの通路の外、海を泳いでやってくる白鯨のようなもの。まんまワンダと巨像の巨像、ダライアスの巨大戦艦である。物語を盛り上げるのではなく、ゲームデザインを盛り上げるキャラとして用意された。
例えばアリーナ内において、
『奥にアイテムフォルダが見えるけど、巨大な手が邪魔して通れない』、
『箱のような透明の容器にみっちりとサクラがつまっていて通れない』、
等々、色々な『肉壁』ギミックを用意し、いつかこのエゴを倒せたらアイテムフォルダを入手できる…といった用途が考えられていた。
月の裏側では攻性プログラムたちにさえ虐待される奴隷階級で、「量産型サクラエネミーより下に、桜の主人格がある」といういじめられ精神の具現だった。桜の心理世界ですら、いじめられる桜がいるという酷い現実……!
実はギリギリまで採用が検討されていたボス。
ストーリーに絡まないため、隠しボスの一体として予定に入っていたのだが、やむなく没になった。
以下はそんな、ゲーム中に使用予定だったマトリクスの断片である。

・廃棄物:
キングプロテアはBBから作られたアルターエゴではあるが、あまりにも危険なため月の表でもなく裏でもない“何もない”宇宙に捨てられた廃棄物である。
何人であれ、このエゴには触れてはいけない。
キングプロテアは愛を求める欲望の具現。
周囲にある何もかもをも呑みこんで成長し、さらに肥大化した空腹を満たすため食事を繰り返し、また成長する。その悪循環は人間のエゴそのものである。パッションリップとメルトリリスの妹にあたるが、姉妹仲が良いのかどうかは不明。

・堕天の檻:
クライン・キューブ。
底なしの赤子。あるいは穴。盲目的に愛を求めるキングフロテアを閉じこめるために作られた檻。月の中枢・熾天の檻と同じく、フォトニック結晶によって作られた物理的な“容れ物”でもある。
キングプロテアの危険性に気づいたBBが堕天の檻で封印したものの、プロテアが檻の中でどれだけの規模に肥大化しているのか、知るものはいない。

・ヒュージスケール:EX
id_es(イデス)と呼ばれる、アルターエゴたちが生まれながらに持つ特殊能力。
スキル『自己改造』が暴走したチートスキル。
限界のない規模拡大を可能とする。
地上では重力などの縛りがあるため、生命は一定以上の規格にはなれない。海中の生命であっても、鯨が最大限のサイズである。建造物も同じことで、建築学の技術・資金調達等の問題で、無限に大きくなっていくモノなどありえない。それは物理法則にとらわれない、電脳世界においても同様である。
あらゆるプログラムにはレベル制限がかけられており、どれほど優れた個体であれ、一定以上の容量に達すると分離し、自らを最適化する。
(規格が大きなると末端への伝達速度が落ちるため、専門職のパーツを切り分ける。神霊と言われるものが多くのアバターを持つのもこの例に当てはまる)
しかし。このスキルを持つキングプロテアはひたすらに成長する。レベルが上限に達すると自らの規格を巨大化させ、さらなるレベル上限を設定。これを無限に繰り返す。
キングプロテアは自らを複雑化させる意志がなく、ただ“飲む”ことだけに特化しているため、肥大化した機能を専門職に分けないのだ。
結果、制御できない自分を持て余して分身[アバター]を作ることなく、単一のエゴとして膨張し続けてしまう。
放置しておけば星を破壊する宇宙レベルの災厄だが、この無限増殖で宇宙が滅びる事はない。プロテアが増殖していくスピードより宇宙が広がるスピードの方が速いためだ。

・グロウアップグロウ:EX
スキル『経験値ボーナス』が暴走したチートスキル。
『経験値ボーナス』は戦闘によって得る経験値に何パーセントかの追加ボーナスが入るものだが、キングプロテアはこのスキルをさらにチー卜化、『常時、経験値を取得する』ものに変えてしまった。
脅威と言えば脅威のスキルではあるものの、あらゆる個体には上限レベルが設定されている。
このスキルは取得者を労せず最高レベルにするだけのもので、能力値[バーラメーター]を強化させるものではない。
むしろ戦闘経験をこなさずに最高レベルに達してしまうため、完全成長時でのパラメーターはまっとうに鍛えた場合より低いものになってしまうだろう。
俗に言う『罠スキル』であるのだが───

・幼化現象:
老化現象の逆をいう。
BBが苦労して作り上げた拘束スキル。
年齢が一定値に達すると幼体に若返ってしまう呪い。決して成人(成長)させないためのプロテクト。
このスキルが付与しているキングプロテアは二十歳に達すると若返りはじめ、八歳児にまで戻った後また成長を始める、というループ状態にある。

・セッテング
渇愛の果て:
楽しいから、美味しいから、温かいから。
動物的な理由でさしたる目的もなく愛を求め続ける───それがキングプロテアのエゴ、“渇愛”である。
ある菩薩の化身は“目的もなく、己がために宇宙を愛で満たす”悪であったが、このエゴは“理由もなく、己がために宇宙中の愛を求める”悪である。
本来なら誰に見つけられる事もなく、理解される事もなく、倒される事もなく、無の宇宙を漂うだけだったが物好きなマスターによって発見され、対決する事になったようだ。
彼女が無垢な嬰児[みどりご]なのか、醜悪な災害なのかは、罪が有るのか無いのか、消費文明に生きる我々に裁きは下せない。
誰もが持つ人間の証。
最強にして基本のエゴである“際限なく求める心”が悪ではなく善として利用できる日が来る事を夢見て、キングプロテアは無のソラを漂い続ける。

ちなみに天敵はリップ。理論上、リップのトラッシュ&クラッシュならプロテアを封じ込める事が可能となる。アルターエゴたちはリップ→プロテア→メルト→リップ……といった三疎み状態であるらしい。

・宝具
なし。ヒュージスケールが宝具に該当する。

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