衛宮士郎(美遊世界)

いわずと知れた主人公。いや君、何もスピンオフでまで主人公張らなくても……。
彼のパーソナリティについては原作Fate等を参照されたし、という逃げを打たせていただきたい。真の士郎像は、みんなの心の中にあるんだよ。
それを踏まえて、士郎であって士郎ではないナニモノカさん。何の因果か、この世界でも何らかの災害にあって家族を亡くし、切嗣の養子となっている。瀕死の自分を助けてくれた正義の味方。その光景は今も士郎の記憶に焼き付いているが、その実、切嗣が浮かべた表情が現実のものであったのかは怪しいところ。
そんな彼が、切嗣の真似をするロボットになりきれなかった理由はやはり、美遊の存在が大きい。全人類の救済という、途方もなく大きく、正しく、遠い願い。誰も彼をも救いたいという壮大な夢想は胸にあって、だが現実として目の前にいるのは自分にしか救えない小さな妹分。その矛盾と葛藤の歳月は、五年をかけてブリキの心を溶かした。

士郎の物語は連載当初からなんとなく設定だけはあったが、描かれる予定はまったくなかった。しかし連載が続いて美遊まわりの掘り下げをしていくにあたり、いよいよもって描くしかねぇと覚悟を決めた次第。そして実際描いてみるとこれがまた……少年漫画的にずいぶんとしっくりくる。しっくりき過ぎてやばい。そりゃイリヤさんも泣きますわ。

PRISMA material/petit: Encyclopedia of Prisma Illya MOVIE