エリザベート

CCCで登場するifランサー。
召喚マスターはランルーくん。
ランルーくんの元のサーヴァントが彼女だったのか、CCCが起きた事(始まりの昇降口以降の分岐)で黒ランサーに変更されたのかは分からない。
ただ、BBが存在してしまう歴史においては、ランルーくんのサーヴァントはヴラド三世ではなくこの少女となる事だけは確定している。
真名は大量拷問殺人で史実に残る女性、エリザベート・バートリー。
サーヴァントは全盛期の姿で召喚されるため、このエリザベートは彼女にとってもっとも美しかった頃……結婚前の十四歳の肉体と人間性……の英霊として召喚されている。
彼女にあるものは結婚前までの恋を夢見る恋愛脳と、悪魔として投獄され、死に絶える寸前の悪夢の記憶しかない。そのため、貴族令嬢としての在り方と、悪夢に冒された狂気が混同している。
サイバーゴスロリなブリブリのドレス、
背徳的な悪魔の角(実は竜の角)、
小悪魔的の八重歯(実は竜の牙)、
マイクスタンド機能を持つ槍、
と、まともな英霊には見えないデザイン。
自称・アイドルのサーヴァント。
まわりは痛い子を見る眼差しだが、エリザベート自身は本気かつ真剣、全身全霊でアイドルを演じている。
一人称は私[アタシ]。三人称はブタ、リス、ウサギ、等、下等動物になざらえた蔑称。
言葉遣いは貴族めいたものだが、ところどころに現代女子高生めいたスラングがまざる。
相手をいたぶって楽しんでいるような台詞回しが多いが、エリザはドSというより真性かつ純粋無垢なサド。主人公をなじって楽しんでいるのはBBで、エリザベートは相手を同じ生き物として見ていないからだ。
(ドSという言葉は愛情表現の一種で、『殺すための嗜虐』を『愛情からの嗜虐』に切り替えたものと思われる)
性質[アライメント]は混沌・悪。
外向的、強気、能動的。
自己愛こそ最高の価値観とする少女。
高貴だけど高飛車なアイドルで、残忍かつ冷酷。
他人の痛みがまったく分からず、むしろ痛がる他人をみてようやく“この生物は人間だ”と認識できる、精神障害者。
サディスティックに見えるが、彼女にとって『人間を傷つける事』は呼吸をする事と変わらない。
エリザベートにとって、人間(下々のもの)を苦しめる事は義務であり職務だからだ。
彼女は貴族主義の権化でもあるので、民衆を支配・管理する事には真剣にとりくむ。こう見えて、与えられた仕事への責任感が強いのである。
問題なのは、彼女にとって支配・管理とは拷問に他ならない、という事なのだが。

「聖杯も人類も私の知ったコトじゃないわ。
文明なんて滅びても一向に構わないし。大事なコトは一つだけ。私だけが永久に、誰よりも美しい女でなくちゃいけないの!
だから───ねえ?みんな、ブタのように死になさい?その血を私に浴びせる程度しか、役に立たない奴隷なんだから!」

生前のエリザベートは自分の美しさに執心し、これを保つためにあらゆる背徳・犯罪行為を行った。
領民たちから娘を取り上げ、これを拷問のすえ惨殺。若さを保つ美容法として、浴槽を少女たちの血で満たしたと言われている。
彼女にとって自身の美しさは『当然』のもの。それを保つための行為は、どのようなものであれ自然だったのだろう。
快楽殺人者として誤解されがちなエリザベートだが、彼女は殺人行為に快楽を感じた事はない。いつも醜く劣化していく体に怒りを覚え、その怒りを領民に叩きつけていた。
彼女が「これ最高!」と悦びにうち震えたのは、サーヴァント化してから知った『日本のアイドル』というジョブである。
以後、彼女は最強のアイドルになるため日夜研讃している。ライバルは赤セイバー。
エリザベートはサーヴァントになって、はじめて『少女らしい喜びとライバル』を見いだした。
一方、自分の美しさにしか関心がなかったため、実のところ性知識や体験にものすごく疎い。
エリザベートにとって『男』とはかしずくもの、貢ぐもの、時に可愛らしいもの(エリザベートの美しさに心酔し、破滅する様が)で、つまるところはブタである。
同時に『女』は奴隷であり、時に母であり恋人であり、自分の美しさを保つ材料。つまるところは食い物である。
CCCでは女性のエゴが描かれるが、その中で『自分の容姿に固執する面』を受け持っている。
BBたちが恋人に向ける感情、
工口魔人が世界に向ける感情だとすると、
エリザベートはひたすら自分だけの幸福を求めている。肉体的に残酷な行為もエリザベート担当だが、性的な喜びに関しては一切触れていない事が、彼女の純潔っぷりを現している。

また、ヴラド三世と同じく、スキル・無皐の怪物によって怪物化が進んでいる。
角も悪魔の角ではなくドラゴンの角だ。
実は体の一部(尾てい骨あたり)に鱗があって、見られると本人は恥ずかしさのあまり赤面、パニックの後に見た者を殺すか結婚するしかないようなラブコメ展開になると誰かが得をする。
ここから裏話。CCC終盤で凛が「ランサーのカルマが減ってる」と話すが、アレは何も善行を行ったからではない。
単に、主人公に協力したエリザベートの行為によって救われた人類の数が、生前の彼女が殺害した人間の数を上回ったからである。感情のないムーンセルらしい判定だ。
なのでカルマが減り、自由になったところでエリザベートが負う罪の重さは永遠に変わらない。

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