む、にだ。二の打ち要らず。
アサシンが持つ対人宝具。戦闘開始ーターン目、『周天、気を収める』から発動する即死攻撃。
……なのだが、ゲーム本編ではアサシンはモラトリアム中に頸脈を乱されているため、即死ダメージではなく九割を奪うダメージに低下してしまった。
対人戦、かつ白兵戦において、ランサーのゲイボルクと並ぶ、最も効率のよい決戦手段と言えるだろう。
史実において、李書文の剛打は、牽制やフェイントのために放ったはずの一撃ですら敵の命を容易に奪ったという。
「李書文に二の打ち要らず(神槍元二打)」
宝具・元二打は、そんな彼の称号がカタチになったものである。
明確に言うと宝具ではなく、武術の真髄。
李書文は達人であり、その勤力が優れているのは言うまでもないが、それ以上に重要なのが相手を「気で呑む」事を実践していたことにあると考えられる。
一説によると、李書文は拳の破壊力だけで相手を倒してはいないらしい。
彼によって絶命せしめられた者たちのほとんどは内蔵の破壊ではなく、現在で言うところのショック死状態であったと伝えられる。
「気で呑む」技法は、技法としては固定された名称がなく、わずかに仙道修行の周天行における空周天に酷似した発想があるのみである。
周天行とは気[エネルギー]を心身に巡らせ、それによって全身を活性化した上で気を共鳴・増幅して養っていく鍛錬法の一種。
そのひとつの到達点が全身を気で満たすものであり、また、周囲の空間に自身の気を満たす事にある。
李書文はこの行法によって相手を「気で呑む」、つまり自身の気で満ちた空間を形成する事で完全に自分のテリトリーを作っていたのではないか、と考察される。「気で呑まれた者」は、「部の感覚が眩惑され、緊張状態となり、この状態で相手の神経に直接衝撃を打ち込んだ場合、迷走神経反射によって心臓は停止する。
即ち、ショック死である。