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カズィクル・ベイ。
ランサーの持つ対軍宝具。
串刺し公・ヴラド三世の代名詞とも言える宝具。
魔槍から放つ、呪いと鉄槌の拷問魔城。
相手が持つ不義・堕落の罪に応じて痛みを増す、まさに正義の一撃である。
ゲーム中では死の叫びをあげるマンドラゴラの如く、敵の足下から無数の槍が突き上がり、大ダメージを与える。
加えてバッドステータス・呪いまで付与される。
敵対したすべての敵兵が対象になるため、一対一より一対多で真価を発揮する。
また隠し要素として、カズィクル・ベイは“粛正の対象”にあたる人間へ増加ダメージを持つ。
相手が『逃走』『不道徳』『暴力』を犯している場合、その破壊力を増していくのだが、犯罪経歴のない主人公にその追加はなかった。
当時、一般庶民への串刺し刑はバルカン半島を含む北地中海圏ではさして珍しい刑罰ではなかった。
しかしヴラド三世は2度目のワラキア公への即位の際、あまりにも腐敗し、堕落しきった自国の貴族たちの姿を見て憤慨。
国を荒廃させた原因はその貴族らにあると見て、未曾有の大粛正を敢行する。その粛正の要となったのが、貴族に対する串刺し刑だった。
貴族と庶民が厳しく分割されていたワラキアにおいて、これは相当にショッキングな事実だったと推測される。
領民たちの中でヴラド公の苛烈さ、恐ろしさを感じなかった者はいなかっただろう。
以降、串刺しはヴラド三世の十八番となり、彼は1459年、トルコの使者を生きたまま串刺しにするなどの所業に出ている。
翻訳者注
- ^ 『Fate/EXTRA』:串刺城塞、『Fate/Apocrypha』:極刑王。