レオ・ビスタリオ・ハーウェイ。
聖杯戦争に参加した最強のマスター。
あらゆるパラメーターが最高値を示す常勝の王。
(ちなみに攻撃的なコードキャストなら凛が、
単純な演算能力のみならラニがレオを上回るが、
凛とラニが二人がかりでレオに挑んでも勝率はまだレオの方が上となる)
その幼い風貌と穏やかな立ち居振る舞いからは想像できないが、世界を支配するハーウェイの次期当主。
ハーウェイが育んだ天性の才能(魔術回路含む)を、過酷かつ丁寧な英才教育によって仕上げた王の卵。
レオ自身、治める者として望まれ、治める者として育てられた事を誰よりも自覚している。
王とは人界より出でるものではなく、
天界が地上に遣わすもの。
こうして生まれた者は王聖を持つという。
レオの王聖は”徹底した理想”。
能力差のある人々が平等に暮らす管理社会実現のため、人間らしい感情を切り捨てながらも人としての優しさに満ちている、という矛盾性を克服した、常人には届かない域の君主[ロード]と言える。
生まれた時から自由のなかったレオだが、超人でありながらも穏やかな性格なのは持って生まれた資質なのだろう。
主人公が変化、攻めを担うのなら、
レオは停滞、守りを担うキャラクター。
レオ自身に私利私欲というものは存在せず、世界がハーウェイの管理の下に安定する事を望んでいる。
聖杯を求める目的は『更なる力を』ではなく『確かな安定を』。
自分以外の者に聖杯が渡ると、十年で終わる紛争が二十年に伸びてしまう。
……仮に西欧財閥の勢力が派遣したマスターが勝利しても、聖杯が『個人が得る国家規模の力』である以上、紛争の火種になる。
その未来を防ぐため、彼は自らマスターとなって月に登った。
「答えのない変動を繰り返したところで、人類は消耗するだけです。世界が完全に停滞する前に新たな変化の道を模索する事が、この後の僕の課題でしょう」
そうレオは語る。
“今の西欧財閥の体制は間違っている”……そんな遠坂凛の主張は、レオの中で既に咀嚼[そしゃく]し尽くされた問題なのだった。
この道の答えが見えているため、答えの後にくる破滅に備えるのがレオ。
この道の答えが見えていても、その答えを変えようとあがくのが凛、という訳である。
レオにとって優先すべきは人類の存続であり、ハーウェイの統治ではない。
彼が聖杯を求める究極の目的とは、人々が安心して暮らせる、次代の千年紀なのである。
しかし───持たざる者、人間の負の感情、そして敗北を知らないレオは、同時に恐怖という感情も知らず、敗れるかもしれないという想像を働かす事が出来ない。
それが『人間』としてどれほどいびつな事か、彼はいずれ思い知る事になる。
すべてをあるがままに受け入れる彼の在り方は、その最期の時ですら生命の本質───逆境での生命力を発現させる事はなかった。
CCCでも登場するマスター。
凛、ラニ同様、五回戦が終了したタイミングで月の裏側に落ちた。
記憶を封印されたものの、BBでも洗脳はできず、旧校舎に閉じ込められていた。(外に出られないだけ)
生徒会を立ち上げ、主人公を全面的に応援する。
記憶を封印されていると分かっていても、
「いやあ。せっかくの機会ですし、面白いのでこのままでいきましょう!」
と前向きに対応。
EXTRAでのレオは主人公に敗北した事で『自分は完壁ではない』という事実を知って真の王となるが、その瞬間に消滅する運命を持つ。
主人公とは価値観の相違から会話すらできなかった少年王は、月の裏側で束の間の青春を楽しむのだった。
ちなみにレオが敬称をつけない相手はAI・人工生命だけ。桜やラニに対して冷たいようにとれるが、レオは彼女たちの在り方を認めた上で真摯に対応している。