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両儀式のもう一つの人格。失われたもの。殺人鬼。
『両儀式』という人間の中で“否定”を受け持つ人格で、少年のような口調と身振りをする。
二重人格というが、式と識は解離[かいり]性同一障害ではない。お互い、行動における優先度が違うだけの話なのである。
両儀式の破壊衝動を受け持つ識だが、生粋[きっすい]の殺人鬼という訳ではない。むしろ自らの衝動を嫌っていた識は、自分から式の裏側に徹していた。
が、その関係も黒桐幹也の出現によって変わってしまい、両儀式が事故にあった際、式の身代わりとして消滅した。
男性である識がいなくなったのに式が男口調である理由は、『殺人考察(後)』で語られている。
翻訳者注
- ^ 識 → 織。