宝石を加工した魔眼をいくつも取り替える、魔眼の大家・レーマン家のご令嬢。
とはいえ、複数の魔眼を起動させうるというのは、脳にそれだけの数の回路をつくるということに等しい。実際、彼女が八つの魔眼を使用できるようになるため、自分の脳をいじった回数はその七倍に至る。それでいて、いまだ十分に人格を安定させているのは、間違いなく彼女の天才性ゆえである。
魔眼蒐集列車が企画にあがった際、魔眼の専門家は絶対必要と考えて設定したキャラだが、まあ実によく動く。中立主義メルアステアのスパイだったり、ハニートラップ大好きだったり、なにか日本のアニメに毒されたような眼帯だったりと、属性てんこもり。そのわりに不思議な統一感と逞しさがあり、どこまでが本音でどこからが嘘なのか、作者にも容易に読ませなかった女である。
ただひとつだけ、最終巻でメルヴィンと交わしていた話については、互いに嘘だらけだからこそ、彼女にとって何の偽りもない時間だったろう。
人名