千山斬り拓く翠の地平

イガリマ。
メソポタミア神話に登場する戦神ザババが所有していた双剣の一つ……と言われているが、これが「そのもの」なのか、ギルガメッシュがそう呼んでいるだけの「別のもの」なのかは定かではない。イガリマ・シュルシャガナは神の子の名でもあるとされ、乖離剣エアなどと同じくギルガメッシュが渾名として名付けた可能性がある。
別名・斬山剣。千の山すらも斬り拓く、長大にして無骨なる巨剣。

刃のみにて斬るに非ず。
質量のみにて拓くに非ず。
この神が造りし剣は「地平線」の概念を内包している。
それは天と地が絶対的に分かたれているという理そのものであり、その理自体が剣閃に漏出した結果として、この巨剣は千の山を無造作に断つのである。

本来ならばこれを迎え撃てるのは同等の神造兵装のみであり、ましてやその剣身を逆に折り砕くことなど不可能。
かつて一人の魔法少女がそれを為したというのは、驚くべきことではあるが――――さもありなん。
少女の願いの星は、天地を際立たせる絶望の黄昏の中ですら尊く輝き、その光をもって果てのない地平を霞ませるのだから。

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