衛宮切嗣の助手。愛人――かどうかは言葉の定義次第である。
幼少期、徹底的に人間性を剥奪されたまま育ったせいで、確立された個人の自我というものを持ち合わせていない舞弥は、自らの全てを衛宮切嗣に帰属するものと認識している。彼女に切嗣を愛しているかと問うのは、内臓に脳を愛しているかと問うのと同義であり、そもそも質問として意味がない。
また切嗣にとっては、妻を聖杯完成のための犠牲にするというのは、誰がなんと言おうとも『妻の愛惜に対する裏切り』であり、その裏切りにおいて躊躇しない自分を必要としていた。彼にとって舞弥との肉体関係は裏切りの予行演習であり、自らを強く保つための一種の自虐行為だったのだろう。浮気の理由としては下の下だが、当の舞弥がそれを良しとしているものだから、もう限りなくネガティブスパイラルである。士郎くんはこんなパパから女性の含蓄を聞いちゃいけません。
魔術の腕前は実際のところ空の境界の鮮化に毛が生えた程度のものなのだが、いかに粗末な道具であろうと致命的な手段として活用できるのがプロの殺し屋をわけで、そういう意味では充分に『危険な魔術』の使い手だった。いざとなれば焼鳥屋の竹串でだって人を殺せるわけですよ。
実は壊滅的な甘党であり、しばしば連れ添いもなく単独でケーキバイキングに現れては、延々と仏頂面のままスイーツを嘆下し続ける謎の女として店員に都市伝説扱いされていたのだが、そんな素顔を当人はひた隠しにしていた。
人名