ヒポグリフ。“黒”のライダー、アストルフォが使用するチート宝具その三。魔獣グリフォンが本来、餌であるはずの雌馬を孕ませることがある。その際、生まれるのが上半身が鷲、下半身が馬のヒポグリフと呼ばれる魔獣だ。
ただし、これは本来有り得ない存在である。何故なら、グリフォンが捕食者で馬が被食者である以上、この二者の間に子供が生まれるはずはないからだ。あくまで言語上、哲学的な象徴としてヒポグリフは存在するだけだった。アストルフォたちが登場する『狂えるオルランド』では、ヒポグリフが登場する。それは「ヒポグリフが登場するのだから、如何なる不思議な話でも有り得ないということはないのだ」という意図が含まれている。アストルフォはこの『狂えるオルランド』において、ローランを救うために月にすら行っている。
アストルフォが駆るヒポグリフもまた、存在そのものが不安定な本当の意味での「幻獣」である。それ故に宝具として解放すると、ヒポグリフは一瞬だが異なる次元へと跳躍する。
それは魂のみの存在が向かうことのできる幻想種たちの場所。宝具として召喚されたヒポグリフには、垣間見ることはできても決して届かぬ世界の裏側である。
宝具