カルマグリフ

カルマグリフ・メルアステア・ドリューク
「いやいやいや、立場上メルアステアは中立主義トップだなんて言われてるけれど、なんせ十ー科だよ。元のエルメロイとは比べようもないからね」
「ちょっとII世くん、冒険を独り占めするのはズルいんじゃないかなあ!」
ロード・メルアステア。 
地と空の二重属性。考古学科の君主(ロード)にして、いまは鉱石科の学部長でもある。
一言にすれば、集めた秘宝を行使しうる魔術師版インディ・ジョーンズ。
普段はスーツに隠した魔弓・双銀瞬弧(シュート・ザ・ムーン)を使う。魔弓は数々の打ち分けができて、発掘作業にも使用可能。弓にとどまらず、ワイヤーにも非常用のクレー
ンにも変化する。
その実は、「変化」のプロフェッショナル。
彼の触れたものは、金属ならゴムに、炎ならば氷に、コンクリートならば泥に、たやすく「変化」させられる。こうした能力に加えて、メルアステアのトップとして集めさせた各種秘宝を身体に隠しており、能力と礼装の応用性だけならば、時計塔で五指に入る。
普段は隠しているが、その真なる能力は秘宝の過剰駆助にある。
その名はファンタズム・オーバーロード。
極めて繊細に「本人の魔力さえも変化させてしまう」カルマグリフは、秘宝の「能力以上」のことをやらせてしまう。無論、多くの場合秘宝は焼け付くのだが、そのつかの間、現代より遙かに優れていた神秘――ことによれば神代以上の「力」を発揮するのだ。それこそ聖柩(アーク)に匹敵する遺物をいくつも抱えている考古学科との相性はまさに最悪。もちろん、考古学を愛する彼は滅多にその能力を発揮しようとしないのだが。

「ロード・エルメロイII世の冒険」当時で三十代後半。
元来、メルアステアは君主(ロード)ながらも、かなりゆるふわで有名だったのだが、カルマグリフの行動はかなり野心的。考古学にも金が必要なのだが、20世紀になって金の必要性が一気に激増したためである。こうした事情から鉱石科の学部長の地位も奪ったのだが、これは困難な状況も呼び込むこととなった。
貴族主義の席のひとつを奪った結果、バルトメロイから目をつけられるようになったのである。
メルアステアは中立主義のトップだが、もともとは最弱に近い十一科。トップとは伝統などを加味した立場上のものでしかない。それをよく知っているからこそ、カルマグリフは今のうちに立場を確立することに余念がない。
また、人類外の遺物を保持している伝承科とは常に互いを監視しあっている間柄。伝承科は自分のカテゴリの遺物を考古学科が隠し持っていないかと疑っているし、考古学科はそもそも伝承科が一定範囲の遺物を独占していることを快く思っていない。それでいて、フィールドワークなどから、互いに協力せずにはいられない、という関係だ。
エルメロイII世に興味を持っているのは、そうした利権と同時に、自分とよく似た立場だと思っているからだ。どちらも本質的には君主(ロード)の地位に興味がなく、自分の目的を魔術と別に持っているため。
なお、メルヴィンのママに多額の借金をしている。
名前は業のカルマと神聖文字ヒエログリフのもじり。

TYPE-MOON BOOKS material: ロード・エルメロイⅡ世の冒険用語集