ユリウス・B・ハーウェイ

ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ。
マスターのひとりだが、ウィザードではない。
西欧財閥の私設部隊(対テロ部隊)の隊長として多くの敵勢力を秘密裏に葬ってきた殺し屋である。
レオとは腹違いの兄弟で、レオのサポート役として聖杯戦争[ミッション]に参加。先行したウィザードが獲得したサーヴァント・アサシンを譲渡されていた。

ハーウェイの子として期待されたユリウスだが、胎児の状態ですべてにおいて能力値が低く、また、欠陥を備えていた事が判明。
ユリウスは“この子供は利益を生まない”という理由で廃棄品として捨てられたが、異様な精神力で生き延び、現在の地位にまで這い上がった。
彼は六歳の時……(奇しくもレオが生まれた……)に、大人たちの言う『利益』を出すために幼年期を捨て、薬によって成人の体に成長した。
三年後に生存価値を認められ、初仕事の後、現在の暗殺部隊に籍を置くことになった。
年齢こそ若いが戦闘経験は豊富なのはこのためだ。
彼は私設部隊の荒くれ者たちをまとめるだけの説得力[バックボーン]を、才能や家柄ではなく精神力だけで獲得した。
レオがハーウェイの光であるなら、ユリウスは暗黒部分を一手に引き受けた外道である。
また余談ではあるが、地上で瞑想しているユリウスの肉体はなかば死体。
ユリウスの肉体は今後の生活に支障が出るレベルの脳改造を施しており、ハーウェイのスパコンと有機的に繋がっている。このバックアップを最大限に使い、ユリウスは聖杯戦争のルールすれすれの手段でレオの障害を排除していた。

ユリウスには生きて地上に戻る未来はない。
レオを勝者にせんと全力を尽くすが、それはハーウェイへの忠誠心でもない。
彼は幼年期、ユリウスに母として接してくれたレオの母・アリシアの遺言を守るために戦い抜いた。
“レオをよろしくね”と微笑む義理の母[アリシア]。
彼女と過ごしたわずかな時間だけが彼の人間らしい幼年期だ。
だが、それもすぐに終わる。
不良品と蔑まれながら与えられた最初の性能試験。
次代の王に不要なものを排除しろ、と顔も見た事のない父は言った。
月光の途絶えた夜。行き慣れた女の私室。
美しく長い金の髪。穏やかな寝顔。
ふと、ハンドガンのトリガーを引く瞬間、
穏やかな声が再生された。
“レオをよろしくね”
タン、という味気ない銃声。
自分を奮い立たせていたただ一つの人間性を失い、彼はようやく、自己の有用性を証明した。

ユリウスは予選の段階から主人公を危険視していた、ただひとりのマスターである。
ユリウスはその嗅覚で、レオにとって最大の邪魔者は凛や他のマスターではなく主人公だと理解していたのだろう。
あの素人。あの平和にゆるみきった男/女こそ、王[レオ]がつまずく路傍[ろぼう]の石だと。
幾たびの衝突を経て、主人公とは五回戦で激突。
戦いに敗れた後もその執念でゴーストとして残り、最後の階層でもう一度、主人公と対峙する事になる。
ユリウスが主人公に固執していた理由は、
レオにとって最大の障害だったからでも、
主人公の正体に気づいたからでもない。
彼はただ、いらだっていたのだ。
自分と同じ一般人からのたたき上げである主人公が、まっすぐに自分を見据えて立ち向かってきた事が、どうしようもなく癩に障った。
それが何を求めての衝動[もの]だったのか、彼は消滅の間際に知る事になる。

CCCでも登場するマスター。
記憶を思い起こせない主人公にとっては、レオに振り回される謎のイケメンという立ち位置。
生徒会の役職は秘書。陰気だが頼りになる青年として活躍する。
実はひとりだけ記憶を保っている。
EXTRAでゴーストと化して主人公への復讐に現れたユリウスは、その時点で“死亡”した。彼が消滅したのは五回戦ではなく、もっと後なのである。
それを知らないBBは「ゴースト化していた」ユリウスを引き込んでしまったので、ユリウスだけは七回戦までの未来を知っている。
ユリウスは“主人公に怨みを持ったまま死亡した”フリをしてBBを欺き、水面下で主人公の助けとなるよう行動する。
その理由は言うまでもない。
ゴーストとなって消えた彼は最期に、望んでいた光を手に入れたのだから。

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