セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア

磨伸先生ごめんなさい。
……“黒”側のマスターの一人。相手を呪い殺す呪術系統の魔術師。腕は良いが、性格的には破綻している。近現代の知識も豊富で、電子ネットワーク越し、コンピュータによる呪殺なども試みていた。
アイスコル家の黒魔術儀式においては、生贄がトランス状態に陥るならともかくとして、生贄を捧げる側がトランス状態に陥ってはならないとされていた。常に水の眼で相手を見据えて処理する。それは食肉を調理する際に、生物の命に対して厳粛な態度を持つのと同じこと。
生贄になる者に相対する際の、正しい在り方なのだ———少なくとも、アイスコル家はそう教えていた。
だが、やはり生贄にした数が多すぎたのか。次第にアイスコル家に絡まっていく呪いの糸は太く強く切れなくなり、土地を移動したことも含めて一気に衰退してしまった。アイスコル家の人間はセレニケの歪みに気付いていたものの、類い希な才能に加虐趣味に関しては目をつむることにした。
そんな甘やかしが遠因となり、聖杯大戦中に自身の欲望を優先させてあえない最期を遂げる。……まあ、教育方針を誤った魔術師はこうなるよね、という見本。あるいは、アイスコル家がこれまで殺してきた生贄たちが、帳尻を合わせようと狙っていたのかもしれない。
人を呪わば穴二つ。どれほど上手く、露呈せずに相手を呪い殺せたとしても———その呪いは、いつしか気紛れに呪った側へと降り注ぐ。それが、たまたま今回のセレニケだったのだろう。

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