キシユア・ゼルレッチ・シュパインオーグ

魔道元帥、宝石のゼルレッチ。万華鏡(カレイドスコープ)の三つ名を持つ、五人の魔法使いの一人。
(死徒と呼ばれる吸血種の祖の一角でもあるが、Fate本編には関わりのない話なので割愛)
宝石をシンボルとする魔術師で、悪に義憤し善を笑うというよくわかんない爺さん。
気まぐれで弟子をとるが、彼の後継者になった家系は未だ出てきていない。
すっげー大昔に吸血種の王様と一騎打ちし、落ちてくるでつけー石を力技で押し返したという怪物。
が、それ以後はめっきり老け込み、現在は全盛期の魔法行使はできないそうだ。
ちなみに、彼に弟子入りするという事は、ほぽ間違いなく廃人にされるという事。
桜トゥルーエンドで語られるエピソードは、魔術協会の部門長たちにも、「どうしよう、一番見込みのあるヤツじゃないと帰ってこないけど、一番見込みのある天才が使い物にならなくなったら大損害だ」という、 伸るか反るかのパクチなワケである。

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Fate/side material: Fate用語辞典
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概要

魔道元帥。西暦以前から活動している最古の魔術師のひとり。
西暦300年頃に起きた朱い月と魔術協会の戦争のおり、個人プレーばっかりで軍隊として機能しやがらねえ魔術師たちのガン首おさえて統括した事から魔道元帥と恐れられる事となった。
朱い月は撃退したものの、その最中に二十七祖・三位の死徒に突貫をうけ、これを倒すも血を吸われてしまい、死徒化してしまう。
以後は朱い月に敵対できなくなり、人類の敵となる。……が、もともと人類の味方でもねーしそろそろ隠居したいと思っていたのでこれ幸いと魔術の表舞台から姿を消した。

二十七祖の一角になってからは朱い月の考えも分かり、余計に毛嫌いするようになる。
反面、二十七祖のシステムを理解し、他の祖たちの在り方を知ってからは吸血鬼嫌いではなくなった。祖の一部は魔術協会の既得権利主義者たちよりよっぽど純粋な学徒だったからだ。

鉱石に関わる魔術の頂点。第二魔法・万華鏡の魔法使い。
エネルギーを安定・構築させるエキスパート。

外見

外見年齢六十代、顔立ちはゲルマン系で。
白髪(もとは金髪)を乱雑にオールバックにした厳つい顔をした老人だが、表情が若々しいので五十代にも見える。
190cmの長身、ガタイよし、背筋もピンと張っていて、まさに軍隊の偉い人、みたいなステレオタイプ。
服装はアニメ月姫・序章の特典としてついてきた絵本を参照。

性格

秩序・善。
外向的、強気、能動的。
思慮深く、全体を見ての良い未来を考える賢人。強面で他人を寄せ付けない外見をしているが社会正義の人で、まっとうな倫理観を持っている。
が、持っているだけでそれを自分には課さず、やりたいコトをやるだけの自由人。「より良い未来のために協会にはルールを強制するが、儂がルールを守るとは言っていない」を地でいっている。
スタンス的にはやんちゃな孫の人生を見守っている、よく笑うお爺ちゃん。
傍観者でありながら口だし(しかも失敗しそうだとニマニマして忠告する)をし、かつ自分に火の粉がかかると分かれば全力で大人げなく阻止する。そんな大人。

ゼルレッチは基本的に「自分はもう地球という学校から卒業したOB」として自身を捉えている。なので学校が崩壊しないかぎり、その中で起きている様々な問題は温かな目で眺めているだけ。「儂も若い頃はそれぐらいやったしな」ぐらいの懐の深さ。
ゼルレッチの人生最大の見せ場は朱い月との対決だったので、それが過ぎた後はほんと余生にすぎないのだ。
もっとも、だからこそ「朱い月」に関するコトだけは積極的に様子を見に行ってしまう。青春時代の後始末というか。ゼルレッチが真祖たちの城に赴き、アルクェイドの誕生を言祝いだのは、彼女が自分にかわって「朱い月問題を終わらせる」因子だったから

口調

一人称は「儂」。
他人に対しては名字を呼び捨て。これと感じ入った高貴な人物にはそれに適した敬称を。「姫」「王」といった風に。
個人的に気に入った相手には、いいところでポロッと「おまえさん」と呼びかける。
語尾に「~じゃ」「じゃわい」などはつかない。
貫禄のある老人口調だが、ところどころ若々しいセンテンスを心がけるように。「いつまでも若い気でいるが、そうはいかんものだな」
長台詞はさけて、一言一言でバシッと決めるのが理想。

能力

宝石魔術の祖。鉱石に魔力を蓄え、安定させ、これを様々な生活・文明補助に使うもの。
仮に地球が人間の手に渡らず、神代世界のままだったら彼は宝石だけでロケットを飛ばしていたかもしれない。

第二魔法は並行世界の証明と運用。
並行世界への移動を可能にした彼は“このように、世界には違う展開を迎える余地がある”事を証明した。
これのおかげで世界は寿命を延ばした。「我々の歴史は失敗し、自滅するが、他に成功した我々がいるかもしれない」という概念が、夢を失いつつあった星に希望を与えたからだ。
ゼルレッチの並行世界移動法は単純なもので、彼は違う時間軸の地球にある「宝石」に転移する。
たとえばA世界からB世界に移動するのなら、B世界にある宝石がザザーッとゼルレッチのカタチになるまで集まって、そこにゼルレッチの魂が転移する。瞬間、宝石ゴーレムはゼルレッチに変身する。この時点でA世界にいたゼルレッチは元の宝石の山に戻る。
鉱石・宝石が存在する世界ならどこにでも移動できるのだが、本人の魂は一つきりなので同時に活動はできない。
もともとは生身で移動していたが、色々あってこの方式が一番楽だと落ち着いた。
また、この移動時に多少の時間誤差が生じるため、時間移動もちょっとだけなら可能となっている。

生身じゃないなら死徒じゃないんじゃないの?という質問には、二十七祖の原理血戒を受け継いでしまったため魂レベルで汚染されているので無理、と返すように。
吸血鬼化なんてものは肉体の変容ではなく存在の変容である。アカシックレコードにある“人間”という記述が“死徒”にクラスチェンジしてしまったようなもの。もう生き物として“吸血鬼”なのである。

経歴

BCから活動している最古の魔術師のひとり。ソロモン王の弟子でもある。
ソロモン王死後、神代の終わりを見届けて表舞台から姿を消す。
その後、魔術協会を立ち上げる学友(ブリサン)に手を貸して協会の基部を構築。
その結果、二百年後に滅びなかった魔術師たちと朱い月の戦争が始まる。この戦いでゼルレッチは人間から死徒に変貌。
以後は多くの並行世界を観察しながら、飄々と事の顛末を傍観している。

立ち位置

魔術協会への態度:

ユミナとの約束もあるし学長とは旧知なのでご意見番としてたまに面倒を見に来るぐらい。魔術師たちの思想の軟弱化はまあそんなもんだろう、と受け止めている。ただし軟弱者が自分の前で持論を垂れ流したらその性根をたたき直す。
魔法に関わる案件があると協会に現れ、大岡裁きをする。

聖堂教会への態度

まったく関わっていない。

死徒への態度

大規模な悪さをしなければ介入しない。
二十七祖のからくりを看破しているが、あえて静観している。アガぺ、ラブマドロス、コーバックの三バカとは茶飲み仲間。アガペの相手をしてるあたり、たんに孫好きのおじいちゃん説がある。

真祖への態度

人間世界の最高位魔術師として、真祖たちもゼルレッチを重く見ていた。
ゼルレッチは西暦以前から生きている人間のよしみで、精霊である真祖たちの相談を受けていた。「キシュア君。ほら、なんだ。あの人間達の間ではやっているキリスト教ってヤツ?あれなんなの?新しい魔術系統?」「ありゃ綿密に作られた人類発展教本だな。しかもいずれベストセラーになる。まあ、おまえさんがたは知らない方がいい。おそらく正気が飛ぶぞ」「そうか、キシュア君がそういうならそうなんだろう。ところでブルゴーニュで作られたワインとかいうの、ちょっと飲んでみたいんだけど。手に入らないかな?」
こんな感じ。

凛への態度

遠坂の末裔ががんばった!よし、魔法使いの席はもうないが儂が編み出したものの誰にも教えられずガッカリしていたいろんな無理難題魔術をたたきこんでやろう!
といった感じでちょっと楽しい。
まほよの青子よろしく、魔法使いの弟子はまず最初に宇宙をうっかり滅ぼすところから始めさせられるという地獄。もっとも、凛の意識はそこまでのものではないので「あれ、なんかいまものすごい地獄を見せられなかったか私?」と首をかしげながら、トラウマで一ヶ月吐き続けた感じ。

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型月稿本: 世界 & 月姫キャラ設定